たま〜に僕のお気に入りの名作(8点以上のモノ)について、紹介も兼ねて書いてみる…。

sonomachinokodomo

評価:★★★★★★★★★☆(9点)
<8点以上→オススメ/7〜6点→まあまあ/5点→普通/3~4点→微妙/2点以下→ハズレ>

"その街のこども 劇場版"
(2010年/日本/83分)
公開:2010年11月20日
監督:井上剛
出演:森山未來、佐藤江梨子、津田寛治
 
【あらすじ】1995年1月17日、午前5時46分。神戸の街を一瞬にして破壊した阪神大震災が発生した。それから15年。子供の頃にこの震災を体験し、今は東京で暮らす勇治(森山未來)と美夏(佐藤江梨子)。2人は“追悼のつどい”が行なわれる前日に神戸で偶然知り合い、震災15年目の朝を迎えるまでの時間を共に過ごすことになる。震災によって受けた心の傷に向き合うため、今年こそ“追悼のつどい”に参加すると心に決めていた美夏。それに対し、出張の途中に“なんとなく”神戸に降り立っただけだと言い張る勇治。全く異なる震災体験をした2人の間には、大きな溝が広がっているように見えた。しかし、ある場所に差し掛かった時、美夏は勇治が長年抱え込んできた過去を垣間見ることになる。復興を遂げた真夜中の神戸の街を背に、これまで語ることのできなかった2人の想いが、不器用に溢れ出そうとしていた…。
 
その街のこども

元々NHKで阪神大震災から15年を機に放送された特集ドラマの映画版(続編ではなくカットされたシーンなどを入れて再編集されたもの)。この1年ちょっと後に3.11が起こったことも含め、今のタイミングで見ても非常に興味深い1作。

震災当時は小学生だった2人の若者が夜の神戸の街を歩くだけ、と言う超シンプルな物語。受け付けない人もいるだろうけど、このヒューマンドラマの炙り出し方が圧倒的に魅せる。脚本の渡辺あや(「ジョゼと虎と魚たち」「カーネーション」)、監督の井上剛(「ハゲタカ」「あまちゃん」)、2人の才能がこの「一見何が面白いのか分からない話」を見事に昇華させてると思う。同じ題材・あらすじでも、この2人でなければ単なる駄作になってたかもしれない。それぐらい「作り手の技量」を感じる。

感情の動きの切り取り方が非常に上手い。同業者の僕が見てても、どうやって撮ったのかよく分からんシーンもいくつかある。それぐらいカメラの存在感が無く、「リアリティ」を際立たせている。おまけに森山未來はいつもどおり天才的だし、普段そんなに上手くない佐藤江梨子もなかなかの名演。

恋愛色を一切入れなかったのが良かったね。最後のハグが実に心地よい。震災を知る者同士の特有のシンパシーがあのハグに凝縮されてたと思う。セリフではなく。


序盤がややパワー不足だったものの、中盤からは文句無し。もっと世の中に知られて欲しいね。予算の限られる邦画界のクリエイターはもっとこういう映画で勉強すべし。クソみたいな茶番劇ばっか作ってる場合じゃないよ。んで、井上監督には純粋に映画を撮ってみて欲しいなー。テレビドラマだけでは勿体ない…。


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