天空の蜂

評価:★★★★★★☆☆☆☆(6点)
<8点以上→オススメ/7〜6点→まあまあ/5点→普通/3~4点→微妙/2点以下→ハズレ>

"天空の蜂"
(2015年/日本/138分)
公開:9月12日
監督:堤幸彦
出演:江口洋介、仲間由紀恵、綾野剛、柄本明、國村隼、本木雅弘
 
【あらすじ】1995年8月8日、全長34メートル・総重量25トンを誇る自衛隊用超巨大ヘリ「ビッグB」が遠隔操縦によりハイジャックされ、原子力発電所「新陽」の上空で静止。「天空の蜂」を名乗る犯人は全ての原発の破棄を要求、さもなくば爆発物を大量に積んだヘリを新陽」に墜落させると訴える。ヘリの燃料が尽きるまではわずか8時間。「ビッグB」の機内には子供が取り残されており、その父で「ビッグB」開発に携わったヘリ設計士・湯原(江口洋介)と原子力発電所設計士・三島(本木雅弘)は子供の救出と日本が消滅しかねないこの恐るべき危機を打開するために奔走する。しかし政府は原発破棄に難色を示していた。タイムリミットが迫る中、見えざる敵との攻防が始まる―。

天空の蜂

20年前の小説が原作とは思えない、何てタイムリーな題材…。「日本映画としては」って枕詞はついちゃうけど、それなりにエンタメ大作として成立してたし、テンポ抜群で面白かったー。

1分1秒を争ってる時に立ち止まっての会話とか絶対にありえないシーンがいくつかあって、その辺は脚本も含めて失笑モノではあるけど、この社会派サスペンスな物語をきちんと娯楽作に仕上げた堤監督の手腕は賞賛に値すると言っていいと思う。2時間20分とやや長尺ながら、さほど長さを感じなかったことがそれを証明してる。ま、ギリギリ7点には届かんかなーと言う感じ。

天空の蜂

一番残念なのは主演の江口洋介とその奥さんがかなり微妙なキャスティングであることかな。江口洋介は何やっても同じと言う所謂「キムタク型」の俳優で、とにかく表情に乏しい。若い内はいいんだけど、中年男性ならではの深みが無いんだよね。「救命病棟」や「白い巨塔」のキャラと同じにしか見えない。特に今回のようなW主役体制だと、本木雅弘の繊細な芝居との力量差が歴然としててとにかく「本気度」に欠ける。

奥さんも、テンプレ過ぎててただの「ウザいKY女」にしか見えない。「こんなクソ嫁なんてとっとと別れちまえばいいのに」と思っちゃったぐらいだ。家族がちゃんと「命を懸けてでも守るべき存在」として観客に見えてこないと、こーゆー映画においては主人公の戦う意味合いが薄くなる。実際、子供はフィーチャーされてるけど、奥さんは最後まで非常に中途半端な立ち位置。物語的には無くてもいいぐらい。ハリウッドならこの辺りは絶対に外さないんだけど、邦画だとまぁこのレベルに落ち着いてしまうんだろうな…。

ビッグBに乗った子供の件が中盤で解決してしまうのも、最後まで何故引っ張らなかったんだろう??「墜落=原発崩壊=子供の死」と最後まで3つのエピソードで盛り上げればいいのにね。

天空の蜂

その他、ちょっと気になったのは…

①撃墜作戦が何故検討さえされなかったのか
 →まともに原発に墜落するのを許すより、木っ端微塵にした方がダメージも少ないのでは?
②政府側の思惑の描写が全く不足している
 →石橋蓮司・竹中直人だけでは安直。首相の判断と現場との葛藤を描いた方がベター。

…と、他にも結構あるけど、やっぱり全体的に作り込みが甘いんだよなー。キャラクター、物語の世界観、何もかも。「何故この人物はこういう行動をとるのか」ってことに説得力・現実感が無い。奥さんのエピソードもそうだけど、仲間由紀恵が「ある人物」のために何故そこまでやっちゃうのかもイマイチよく分からんし(セリフでは説明してるけどそうは見えない)、女刑事の演技も肩に力入り過ぎててド下手だし。

天空の蜂

とは言え、決して安易に「反原発」では無いスタンスなのは良かった。最も愚かなのはそこで生きる我々人間であって、その当事者にならない限り、全ての物事は所詮「他人事」でしかないってことを、(不十分だけど)この映画は描いてる。子供の救出シーンはハラハラドキドキで釘付けだったし、ラストも今ならでは。僕は好きな終わり方だったね。

テレビドラマじゃ多分今のご時世だと出来ないだろうなー。これを映像化して、エンタメとして世に放った松竹の覚悟は凄いよ。是非、次はこれを質・量共に上回る超大作を作って欲しいなぁ…。

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