向日葵の丘

評価:★★★★★★★★☆☆(8点)
<8点以上→オススメ/7〜6点→まあまあ/5点→普通/3~4点→微妙/2点以下→ハズレ>

"向日葵の丘 1983年・夏"
(2015年/日本/138分)
公開:8月22日
監督:太田隆文
出演:常盤貴子、田中美里、藤田朋子、芳根京子、藤井武美、百川晴香、別所哲也、津川雅彦

【あらすじ】東京で売れないシナリオライターをしている多香子(常盤貴子)は、故郷で暮らす高校時代のクラスメートのみどり(田中美里)から30年ぶりに連絡を受ける。病気であと数か月の命という内容に驚いた多香子は、もう一人のクラスメートでアメリカ人と結婚したエリカ(藤田朋子)に相談するが相手にされない。多香子は高校時代に起きた悲しい出来事を今もひきずっており、一度も故郷に帰っていなかったが、悩んだ末に30年ぶりの帰郷を決意する。故郷に向かう多香子の胸に、地元の名画座に3人で行きミュージカル映画を毎週観たり、学校の帰りにいつも鯛焼き屋でおしゃべりをしていた日々が蘇る。そして片想いの先輩の思い出も。しかし、30年ぶりに帰った故郷には、哀しい現実と別離が待っていた…。

向日葵の丘

何でこんな映画がこの広い東京で1館しかやってないんだー!…と唸るぐらいに結構良かったよ。不思議とジーンと来るこの感じ。マジで良かった。多分DVD出たらもう1回見る。

常盤貴子が設定50歳前にしちゃあまりにも不自然に若過ぎるとか、各所で棒読みの演技が散見されるとか、多香子が故郷を去る理由がやはりちょっと弱いとか、同級生なのに藤田朋子1 人だけ明らかにオバサンとか、ちょこちょこツメの甘さや話の出来過ぎ感が気にはなるけど、それも含めてこの映画の「味」なのかもしれない。

そんなの吹き飛ばすぐらいの圧倒的な世界観こそが魅力。これぞ日本映画の真髄。演技が演技っぽいけど、演技っぽくない。何を言ってるのか分らんだろうけど、そうとしか表現出来ないなぁ。

向日葵の丘

太田監督の映画は初めてだけど、大したモノ。「人間」をちゃんと撮ってる。「空気」をちゃんと掴んでる。昨今の東宝の大味な映画では決して出せない味がある。まさしく日本版「ニュー・シネマ・パラダイス」。

現代ってやっぱり便利になり過ぎたんだと思うなぁ。便利ってのは人が努力する機会を奪うんだよね。例えば、道に困ると今はすぐスマホで検索。でも昔は人に聞いてた。その時にどの人に聞くか考えるのも、1つのドラマなんだよね。そういう意味では実につまらん世の中になったと思う。日本のTVドラマが急激につまらなくなったのもこの辺りと無関係ではないんじゃないかな。

向日葵の丘

この映画は「幸せって何だっけ」「人生って何だっけ」「青春って何だっけ」と言った類のことを、ありとあらゆる方面から描いてる。絶対にどこかしらで日本人の心に響くモノがあると思う。そして高校時代の多香子を演じた芳根京子(出演時間的には実質主役)が凄く良い。常盤貴子はそんなに演技上手くないし、圧倒的にこの子の方がナチュラルで魅力的だったね。彼女が主演だったからこそこの映画は上手くいっていると言っても過言じゃない。

あとはやっぱり演出が押しつけがましくないのが良かったのかなー。「ここで泣いてください」みたいな音楽の付け方するタイプの方が昨今は多い(「くちびるに歌を」とか…)んだけど、全体的にイイ意味でサラッとしてる。まぁ終盤のスピーチがちょっと長過ぎるのは微妙だったものの、その他は総じて文句nothing。間違いなく全国公開すべき隠れた秀作。

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